伝統的な建築物の保全に携わりたい

ページ番号1006153  更新日 令和1年8月5日

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「職人には職人にしかできない仕事がある」

若月さんの画像

 市内で板金職人として働く 山崎板金工業所  若月えりこさん

歴史と文化のまち新発田。これを支える職人がこのまちにはいる

 城下町である新発田には、長い歴史とそこで育まれた文化が今も根付いています。また、それらを支える人々により伝統の技術も受け継がれています。この役割を担う「職人」に焦点を当て、市内で板金業を営む山崎誠一さんと娘の若月えりこさんにお話しを伺いました。

職人の世界は…

職人の手元の画像

 自らも板金職人として50年以上のキャリアを持つ父親の山崎誠一さん。初めは娘さんが職人になる事に反対したと言います。その理由とは。

(山崎)娘が就職をする際に、板金職人になりたいと相談されましたが断りました。当時は、職人の世界は男性中心の社会。今と違い、現場には仮設トイレなども無く、周りにも女性の職人はほとんどいない時代でした。また、高所での作業など危険も伴う仕事なので反対しました。

父といっしょに働きたかった

山崎さんと若月さんの画像

 一度は断られた職人への道。若月さんはどのようにしてこの道に進んだのでしょうか。

(若月)父に断られた後、建設関係の仕事に就き重機の免許も取りました。建設業界にも女性はあまりいない時代。それでも積極的にさまざまな作業に取り組みました。そんな中、父がけがで入院した事がきっかけで、現在の仕事を手伝うようになりました。ずっと「父と仕事がしたい」と思っていたので、念願がかないうれしかったです。仕事を続けていくうちに「おもしろい」と強く感じるようになりました。

「おもしろさ」から「やりがい」へと意識が変化

作業現場での様子

 職人になりたての頃と今とでは、仕事に対する考え方が変わってきているという若月さん。

(若月)最初は手伝い程度で「言われたことをやる」という感覚でしたが、徐々に技術を習得することで、自分でやりたいことがどんどん出てくるようになりました。職人になって15年位ですが、まだできないことも多く、壁にぶつかることがあります。そんな時は、これまでの経験から試行錯誤を繰り返したり、先輩や父に相談したりしながら対応しています。技術の習得に終わりはない。これが、仕事に対する「やりがい」につながっていると思います。

受け継がれた技術を次世代へ

アルミ細工の画像

 職業指導訓練員でもある山崎さん。自社の職人だけでなく、広くその技術の普及に努めています。また、その技術の高さから、新発田台輪の飾り金具の改修や制作を頼まれることもあるそうです。

(山崎)職人の世界には、若者が少ないのは事実。それでも毎年行われる技能検定の受験者は、下越の板金職人で30~40人はいます。若手の職人を増やすためには、技術の伝承も必要だし、あこがれの職業となるように職人の地位の向上も必要だと思います。やはり「やりたい」と思う気持ちが一番大事です。そのため、仕事につながる技術だけでなく、アルミ缶などを細工し、折り鶴や花などをつくる応用技術の講習会も行い、「職人のすごみ」も伝えています。台輪の飾り金具の制作も、設計図などに頼ることなくこれまでの経験を応用し対応しています。これらの仕事は、商売とは別に自分なりの貢献だと思ってやっていますし、声が掛かること自体、職人冥利に尽きると感じています。

神社仏閣など伝統的な建築物の保全にも携わりたい

作業場での様子

 職人になりたての頃、諏訪神社の再建に携わった若月さん。その後の職人人生に大きな影響を与えたとのことです。

(若月)諏訪神社の再建のときには、まだ、資材運びなどしかできませんでしたが、市内の職人が力を結集し、それぞれの作業を協力しながら行っている現場を経験できたことは、私にとって大きな経験でした。「いつかは自分もやってみたい」と強く思いました。伝統建築の改修などは、住宅建築の技術とは別物で非常に難しいですが、その分やりがいのある仕事です。機会はめったにないですが、新発田に多く遺るこれらの財産を後世に受け継いでいくためにも、ぜひやってみたいです。これは、新発田の職人ならではの役目だと感じています。

職人ならではの魅力を感じ、この道に進んでほしい

若月さんと作品の画像

 「板金職人」という仕事に誇りをもっている山崎さんと若月さん。職人になりたいと思っている若者にメッセージをいただきました。

(山崎)職人の世界も環境整備が進み、現在では、男女の関係なく活躍できる世界になっています。昔のような「弟子」という概念もなくなり、入りやすいと思います。若い人にはぜひ、職業の選択肢に「職人」も入れてもらいたいと思います。

(若月)とにかく「物づくりが楽しい」「この仕事をやりたい」と思えることが大事です。私は自分の技術を活かし、結婚式のウェルカムボードを板金加工で作りました。これも職人ならではの思い出の品。職人には職人にしかできない仕事があります。これがほかの仕事との大きな違いであり、最大の魅力だと思います。

 今後も、自身の技術を磨き、城下町新発田の伝統と文化の継承に貢献してもらいたいと思います。そして、父から受け継いだ技術を、これから職人になる「次世代」につなぐ役割にも期待したいですね。

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